フードテック(FoodTech)スタートアップの探究(第1回:mimica社)
David JenneによるPixabayからの画像
本記事シリーズは、
筆者が気になったフードテックのスタートアップ企業(ベンチャー企業)を中心に、
感じたことを記述していきます。
第1回はmimica社です。
なぜ、この企業が気になったか
日本における食品廃棄問題をニュースで見たことがあり、
具体的に取り組んでいる海外企業として興味を引かれました。
企業情報
mimica社*1は2017年創業のイギリスの企業で、
食品廃棄問題(と食料不足)に取り組むための製品を開発しています。
背景
WRAP*2の2015年の調査データによると、
イギリスでは全家庭から年間740万トンの食品が廃棄され、
そのうち440万トンは、まだ食べられる状態のものであったとのこと。
一方でスーパーマーケットなどお店で販売されている食品の消費期限は、
「最悪のシナリオ」に基づいて設定されている。
「最悪のシナリオ」とは、
冷蔵庫で保管されていなくて温度管理がされていないといった
想定外の保管方法を意味します。
そのため、「最悪のシナリオ」を元に設定された消費期限は、
適性管理された場合のそれに比べて短くなっています。
しかし、ほとんどの場合、食品は適性温度で管理されています。
結果として「食べられるのに」廃棄していることになります。
製品
「Mimica Touch」はラベル、ボトルキャップ、の2種類の形状があります。
ラベルタイプは食品パッケージに貼り付けて、
またボトルキャップは飲料容器での利用を想定しています。
ラベルタイプの形状は、例えて言うならば、
デリバリーのピザを注文したときについてくる
Hans BraxmeierによるPixabayからの画像
のような感じです。
ケチャップの部分に温度を検知するジェルが入っており、
温度変化によりジェルの形状が変化します。
ラベルをスワイプして、
ボコボコした感触であれば、
消費期限切れのサインとなります。
Mimica Touchの対象食品としては、
まずジュースや牛乳といった飲料、次に肉類を考えているようです。
感想
スワイプしてボコボコに感じたら消費期限切れのサインというのは、
商品を購入する人にとっては、
説明書いらずで誰でも直感的に使えそうな感じがしました。
スーパーマーケットなど商品を売る側にとっても、
これまでより長く店頭に置いておけるので、
返品コストが減るような気がします。
その他、
価格
mimica社のウェブページには製品価格の記載がありませんでした。
個別相談といったところだと思いますが、
広く使ってもらうためには低価格が要求されると思います。性能
今後、消費期限の比較データ、
例えば、従来表示の消費期限とMimica Touchによる消費期限を
比較できるデータが見れると、
製品の説得力が増すと感じました。使い勝手
Mimica Touchをスワイプした時のデコボコ感というのが
どの程度のものなのか。
誰でも明らかに感じることができれば良いのですが。
補足
農林水産省*3によると、
日本でも年間約300万トンの食品が「食べられる」のに廃棄されているとのことです。
(第二回に続く)